俺のシナリオや文章の書き方、手法や好みや癖など
読者のみなさま、ごきげんよー
同人サークル The sense of sightのBLACKGAMERです
同人ゲームのシナリオを書き始めて、もう12年ぐらいになりますが…
そういえば、書き方や癖ってどうなんだろう…と思って振り返ってみたら
思いの他、こだわりポイントがたくさんあったので、まとめてみました
ああ、こいつのゲームの売りはこんな部分なのね…と想いながら
未プレイ、既プレイのどちらの人も楽しんでいただければ幸いです
ちなみに、書き方よりも文章を書く量のほうが気になる…と言う人は
文章を書くのが遅い? 俺が月に書ける文章量と市場価値の検討をお楽しみください
書きたいことを書くのは当然、大事なのは見たくないシーンを入れないこと
DAGGERを制作する中で俺が一番気を付けてやっているスタイルが、これ
むしろ、俺がシナリオを書きたいと思った一番の理由がこれかもしれないです
だって、いっつも何かを見ては不満ばっかり感じていたから
違うんだよ、そうじゃないんだよ、その選択や行動はいらないんだよ…
何度、創作物を見て苛立ったことか、もう数えきれません
- すれ違いからの不仲とか、どうせ仲直りする癖にだるいんだよ、いらねえ
- 仲間割れも同じく微妙な空気になるだけだったら微妙だよ、いらねえ
- 敵につく自己犠牲ヒロインと絶望する(信じる)主人公がめんどい、いらねえ
- 周りに相談しないで単独行動で問題発生とか、うざいんだよ、いらねえ
そういう「やめてくんないかなぁ…テンション下がるんだけど」というのが嫌で
だったら、そういうことしない奴の物語を書けばいいんじゃない? というのが
俺がDAGGERを始めたそもそものきっかけでもあります
創作を始めた一番最初の頃にハマったのが、エロゲーのエンド改変だったので
そのあたりから、ああ、もっとこうしたらいいのに…という想いが強かったのです
だから、それをひたすら馬鹿正直に積み上げたらどれだけ楽しんでもらえるか
それって最高に面白いんじゃないの? という発想から創作してます
なので、本当に俺の文章は、俺の自己満足によって出来ています
俺が一番好きだと楽しめるように、俺が不快にならないように
ただ、それだけを目指したひたすらな「俺のためのゆとり」仕様
で、それの自画自賛がすんごく強いからみんな楽しんでいけや! とか言って
同人ゲームにしたりして公開してます
嫌いなシチュエーションの有無で同人ゲーム宣伝に強みを!という記事も書きましたが
やっぱり、根底にあるのは自分にとっての地雷回避の精神ですね
いいプロットなんて書けない、書きたいことをつなげていく
物語はプロットという「物語の筋」を決めて書きだすのが一般的だと言われてます
でも、俺にはそれができません
1~10までプロットを書くなんてことはしないで、作ってはつなげてを繰り返す
大事な設計図とも呼ばれるプロットなしで書くなんて馬鹿なんじゃないの?
という考えも大勢いると思うけど、その指摘はもっともだと思う
だけど、俺の力量じゃ初期にプロットを作った段階で面白くないんだよ
プロットを書いて、おーこれなら読者を楽しませられる…なんて絶対ならない
なんか、超無難で超普通、いや物語は終わるけどこれ誰が楽しむのさ? って
真顔で問いかけてしまうような状態なんですが
何とかしようにも、どこをどう直せばいいのか分からない
だから、プロットにこだわるのをやめました
もっというなら、書きたいシーンに肉付けして描いてシーンを完成させた後に
その順番や関連を検討しながら構成をいじるほうが自分にあってました
物語を線に例えるなら、俺のプロットだとつまらない平坦な線が一本だけです
だから、途中でつないだり、結び目を増やしたり、だんだんと伸ばす感じ
一本の線で「あやとり」をして綺麗に見せられる方法を模索するような気分ですね
あ、プロットは全否定なわけでもないので、一本丸ごとじゃなく分けて書いてます
1~10じゃなくて、3~4、7~9までとか、シーンで区切ってつなげる感じ
そのほうが伏線とかも入れやすかったり、閃きやすいんですよ
しょうがないんです…
ぷよぷよで自力連鎖をするのに4連鎖を超えるあたりから、
あれ? そっちも消えるの? とか言っちゃうぐらいに見通しと構成ができないから
小さく小さく整えてパズルをするしかないんです
それにね、もっとも大事なところですが…
俺は、文章が書ければいいわけじゃない
俺が面白いと思う文章を書けなければ意味がないのです
というわけで、やればやるほど自慰は上達して行き、
セルフで「ここか? ここがええのか?」などとくだらないことを言いながら
常に物語で自分をマッサージしている感じで同人してます、うん、どうしようもないね
加筆&修正を繰り返して詰めていくのが大好き
何よりもね、書きたいシーンはテンションが違います
それだから好きなシーンは何回でも加筆修正する、もう馬鹿みたいに
何回いじり倒したか分からない、でもね、他を書けよって思うのにまだ書き足す
そのシーンのあふれ出る感情を全部救い上げられてる? 漏らしているものはない?
そんなことを心配しながら書いてるので、各シーンにおける時間の掛け具合を見ると
本当におかしなことになっています
でもね、それがお客さんに伝わるんじゃないかなーと勝手に思ってるんですよ
だから、俺はサラリーマンの土日休日はもちろん、平日早朝から平日深夜まで
俺の時間を持って、命をかけて圧縮した想いを練り込んだ文章を楽しんで欲しい
これ以上はもう出せないよ、というような特濃な俺を楽しんでほしいです
感情が震えるような「激情」のシーンが好き
俺が鳥肌が立つのは、いつも「あふれだした感情」に触れるときだ
だから、俺のゲームにもそういうシーンが多いといいなーと思って詰め込んでます
特に好きなのが、キャラが「幸せ」になる瞬間
見ていて、あれが一番いいんですよね
ああ、この子が幸せになってくれて、本当に良かったと心から思える
そんな思いを味わいたいがために、ウチの娘たちには幸せになってもらってます
喜んでいる人を描くのが、やっぱり好きなんですよ、俺は
それと感情としては外せないのがもう一つ
「幸せ」と同じか、もしかしたらそれ以上に気を使って書いているのが「怒」です
なんで怒っているのか? という理由の部分ももちろん大切にしていますが、
どれだけ怒っているのか? を相手に分からせるのが何よりも好きです
だから、基本的にバトルで一番テンションあがるのは口喧嘩なんですよ
だって、すごいパンチの応酬とか言われても、ああ、そう…ってなるだけじゃん
でもね、あふれ出る怒りがあって、それを魅せつけるために戦闘をするんですよ
だから、高度な駆け引きや必殺技はある意味、前菜みたいなものです
俺の中での主菜は、感情のぶつけあいなんですよ
というわけで、論理的だったりするよりは感情任せで書いてる部分が多いです
そして、感情が爆発するシーンはいつだって大好きです
最後に&生産性を意識する必要がない限り自由でいいと思う
twitterとかでも、文章の書き方ってみんなどうなの? みたいなのがたまにあったので
ちょっと張り切って書いてみました
同人で創作している人やブログなどで書くことを意識している人には、
ふぅん…こんなことして書いてるんだ…と思ってもらえたら、それだけで嬉しいです
そして、書くことになれてない人へ
プロットを用意しようとして挫折するぐらいなら
書きたいシーンだけ書いて挫折しましょう
まずは、カラオケでサビだけでも気持ちよく歌うべきところを
ボイストレーニング講座1みたいなことやって辞めてく人が多い気がします
たまに見かけるプロット書いて終わりな人とか、ホント悲しい
だったら、好きなように好きなシーンだけ書いて終わりでいいじゃない
設定から…とか、これをやるより前に…とか、順番なんてどうでもいい
一番やりたいときに一番書きたいものを書いて、そこに追いつく方法もありですよ
生活をかけて文章を書くような生産性を意識する立場になったら、
書き方にも注意をしなきゃいけないけど、そうじゃない場合は自由でいいと思います
まあ、こんなに自由にやりたい放題やっても、生産性はなくて遅筆で遅くても、
やり続けたら完成するんですよ…というお話でした
おまけ 【ネタバレあり】俺がDAGGERで書きたかったこと
以下、ネタバレになりますのでDAGGER シリーズを未プレイの方は、スルーで!
既プレイヤーの方はニヤリとしてもらえたら嬉しいです
第一章 戦場の最前点
俺がどうしても書きたかったのは、妹になるアイシスの部分です
あれが一番に先行してくれたおかげで、DAGGERがあります
夜空の下で絶望するアイシスとそれを後ろから抱きしめるティスト
ああ、この瞬間のアイシスの「幸せ」を余すことなく書きたい
この腕に抱きしめられて死ぬことが一番幸せな死に方だと思わせるほどに…
全てを上書きして絶望を取り払う「嘘」と「兄」を書きたい
そして、あのシーンを忘れられない思い出として刻み込んだアイシスが、
最終話で大軍を前に一歩も引かないで家を守ろうとするシーンを書きたいと
俺が心底から思って、DAGGERの第一章はできました
他にもたくさん思い入れのあるシーンは多いですが、
やっぱり、始まりはあのシーンです
第一章サイドストーリ― 点を支えし者達
おばあちゃん大激怒! もうね、これに限りますよ
クレアがティストのことをどれだけ思っていたのか…
あの小屋に駆けつけたクレアが、どれだけのものを溜め込んできたのか…
吹き荒れる怒りと、あの子のためなら命も惜しくないと言い切る親の愛を
どうしても書きたかったんです
「死にたいにしても、もう少しマシな方法を選ぶべきだ」とレジに言わしめる
あのクレアの愛の深さは、書いていて自分でも満足しました
売上伸びないのは、短編だからかなーと思ってたけど、
どうやら原因の一つは表紙を飾るクレアの姿もあるようです
でもね、表紙からどんだけ購入者が減ってしまおうとあれは変えません
だって、あれはクレアの物語だから、表紙だけ変えて詐欺ってもしょうがないです
なので、買わない奴は死ぬほど損してるぜ、馬鹿め…と思いながら
俺はただただ、買うだけの価値はあるんだぜーと頑張って宣伝するのみです
第二章 有色の戦人
セレノア編も感情の爆発だらけですが、
精霊族にティストとアイシスが森の礎を借りに行くところは思い入れが特に強いです
二視点であることを存分に有効活用できたのは、あの回が一番かと思ってます
得意げにティストとアイシスの後を追ってきたセレノアが自責に飲まれ
そして、自分が何をすべきかをもう一度考え、王族として振る舞う
きっと、セレノアがティストやアイシスのことを自分の身内だと思ったのは
あそこからだったのだろうな…と今にして考えると思います
ツンがデレるにはね、どうしても理由がいるのです
だから、その理由は出来る限り、極上なものを用意してやりたい
そうして生み出された、デレる瞬間の幸せそうなツンほど可愛いものはないのですよ
回を重ねることごにセレノアが単なるツンデレじゃなくなってしまったけれども、
俺の中でセレノアがしっくりきた瞬間でもありました
第三章 銀環の誓い
思い入れのシーンでいけば、たくさんあり過ぎて困りますが
圧倒的な加筆修正の量と時間を誇るのは、精霊族に捕えられたティストの奪還部分です
今でも時折見たくなって読み返すほど、あのシーンが好きです
感情を抑えきれないアイシスと、回復のために全てを解放するユイ
それぞれの役割を分かった上で、愛を持ってその仕事を完遂させる
特に、アイシスの一章最後との対比での成長が書けたのはすごい嬉しかったです
こんなときのために、私は強くなりたかった
アイシスが告げた言葉に胸を熱くし、
それに答えるように全力魔法を展開するユイをどうしても書きたかったんです
姉妹として方法は違うけれど、どちらもティストを想っている
そうして二人が戦う瞬間を描けたことに満足しています
第三章サイドストーリー 有色の姫巫女
どうしても書きたかったのは、ユミルの最後です
「自分の最低な死を、自分の愛する者に上書きしてもらう」
それを選んだことを、最後まで深い愛と正直な想いを出して逝った彼女を描きたかった
それと、シーナが告げた「戦場の最前点に会いなさい」の裏側もですね
ここにどれだけの意味を込めていたのか、セレノアへの愛があふれていたのか
そして、第二章の最後が、レオンやガイにとってどれだけ価値のあったものなのか…
それを伝えるために、全てをつぎ込みました
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